― 「便利そう」から、私の暮らしに必要かを考える ―

新しい家電を見ると、少し心が動きませんか。
「これがあったら、料理が楽になるかもしれない」
「今より短い時間でできそう」
「ボタンひとつなら、私にも使えそう」
家電は、私たちの暮らしを便利にしてくれます。
洗濯機も冷蔵庫も電子レンジも、今では暮らしに欠かせない存在です。
さらに最近は、材料を入れるだけでスープを作ってくれるもの、自動で調理してくれるもの、掃除をしてくれるものなど、家事を助けてくれる家電がたくさんあります。
私も家電を見るのが好きです。
「これがあったら楽になるかも」と考えると、欲しくなることもあります。
けれど、便利そうだと思って買ったものが、いつの間にか棚の奥にしまわれていた、という経験もあります。
そこで最近は、家電を選ぶときに、一つ考えるようになりました。
「私は、この家電で何を楽にしたいのだろう?」
たとえば、調理家電が欲しいとします。
欲しいのは、本当にその「家電」なのでしょうか。
もしかすると、
「夕方の料理を少し楽にしたい」
「火のそばに長く立つ時間を減らしたい」
「手作りのものを、無理なく食卓に出したい」
そんな暮らしが欲しいのかもしれません。

そう考えると、家電を見る目が少し変わってきます。
機能が多いものが、自分にとって一番よいとは限りません。
高価なものだから、暮らしが快適になるとも限りません。
どれほど便利な家電でも、出すのが面倒だったり、洗う部品が多かったり、操作が難しかったりすれば、だんだん使わなくなってしまいます。
反対に、機能は少なくても、すぐ使えて、手入れが簡単で、「また使おう」と思えるものなら、暮らしの中で活躍してくれます。
大切なのは、家電そのものの性能だけではなく、
「今の私の暮らしに合っているか」
なのだと思います。
これは、家電に限ったことではありません。
洋服も、食器も、収納用品も同じです。
「よいモノを持つ」ことと、「自分に合うモノを持つ」ことは、少し違います。
年齢が変われば、暮らし方も変わります。
家族の人数が変わることもあります。
以前は簡単にできていたことが負担になったり、反対に、時間に余裕ができて楽しめるようになったりすることもあります。
だから、一度選んだものを、ずっと同じ基準で持ち続けなくてもいいのではないでしょうか。
家電を買う前に、
「これがあったら便利かな?」
だけでなく、
「これがあることで、私はどんな時間を増やしたい?」
と考えてみる。
料理を楽しむ時間かもしれません。
ゆっくり座る時間かもしれません。
家族と話す時間かもしれません。
あるいは、家事を早く終えて、自分の好きなことをする時間かもしれません。

家電は、持っているだけで私たちを幸せにしてくれるわけではありません。
でも、自分が大切にしたい暮らしを助けてくれる家電なら、毎日の小さな負担を減らしてくれます。
そして、その先に生まれた時間を、自分が大切にしたいことに使うことができます。
家電を選ぶことも、暮らしを選ぶこと。
次に「これ、いいな」と思う家電に出会ったら、少しだけ立ち止まって、自分に聞いてみませんか。
「私は、この家電で、どんな暮らしを手に入れたい?」
その答えが見えてから選んでも、遅くはありません。
