本をつくり始めたころ、目標は「一冊の本を完成させること」でした。
もちろん、本は残りました。
でも、振り返ってみると、それだけではありません。
書き出すこと。
分けること。
人に任せること。
自分で決めること。
違和感を見逃さないこと。
確認する場所を変えること。
一度決めたことを選び直すこと。
そして、どこかで「完」とすること。
本づくりの途中で何度も迷い、そのたびに考えました。
正解を探していたつもりでしたが、最後に残ったのは、
自分で判断するための方法
だったように思います。
そして、もう一つ残ったものがあります。
記録です。
あのとき何に困ったのか。
何を考えたのか。
どうやって決めたのか。
その一つひとつは、作業中にはただの出来事でした。
でも、あとから振り返ると、そこにはたくさんの気づきがありました。
こうして「本ができるまで」というコラムを書けるのも、その時間があったからです。
完成した本だけが、本づくりの成果ではありませんでした。
迷った時間も、やり直したことも、立ち止まったことも。
すべてが、次に使える材料になっています。
だから私は、記録を残しておきたいと思います。
完成したものだけではなく、
そこへたどり着くまでに、何を考え、何を選んだのか。
それもまた、これからの自分への申し送りになるからです。

