第41回 記憶より、記録

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本づくりを振り返ろうとすると、

「そういえば、あのとき何を考えていたんだろう」

と思うことがあります。

出来事そのものは覚えています。

でも、そのとき何に迷い、なぜその方法を選んだのか。

細かなところになると、記憶は思っている以上に曖昧です。

ところが、残していた文章やメモを読み返すと、そのときの自分が戻ってきます。

「ここで困っていたんだ」

「だから、この方法を選んだんだ」

結果だけではなく、そこへ至るまでの道筋が見えてきます。

本の中にも「記憶より記録」というコラムを書きました。

そして、本ができたあと、その意味を自分自身が実感することになりました。

記録とは、出来事を保存するだけのものではないのかもしれません。

あとから意味を見つけるために残しておくもの。

そのときには失敗にしか見えなかったことも、あとから振り返れば、次の判断に使える材料になっていることがあります。

記憶だけなら、

「大変だった」

で終わっていたかもしれません。

記録があるから、

「何が大変だったのか」
「どうやって抜けたのか」
「そこから何を学んだのか」

まで戻ることができます。

こうして「本ができるまで」を書けるのも、記録が残っていたからです。

記憶は薄れていきます。

でも、記録は未来の自分に渡すことができます。

それもまた、一つの「人生申し送り」なのだと思います。